東芝石窯ドームプレミアムモデルER-WD7000を購入以来、すでに何度も調理を行いました。
主な用途はバゲット・ハードパン焼きです。
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【レビュー】東芝石窯ドームのプレミアムモデルで焼いたバゲット・ハードパンがこちら
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確かにパンは美味しくムラなく焼ける!
しかし、「最高温度350℃」に関してはちょっと期待ハズレ!
オーブン庫内温度計で東芝石窯ドームの「実温度」を測定
オーブン調理を行う際は、オーブン庫内温度計(オーブンメーター)を入れ、温度推移を観察しています。
東芝石窯ドームプレミアムモデルER-WD7000のカタログスペックは「最高温度350℃」となっていますが、
私が試した限りでは290℃が限界です。
オーブン350℃設定時の温度推移
東芝石窯ドームは、この機種に限らず最高火力が出るのは最初の5分間のみです。
(パナソニックのビストロも同仕様。)
350℃予熱ありでオーブン調理を行った際の温度推移は下記の通りです。
- 最高温度350℃で予熱すると、250~270℃あたりで予熱完了ブザーが鳴る。
- 「食品を入れてください」という表示を無視し、そのまま数分予熱し続けると270~290℃まで上がる。
- 扉を開けて食材を入れ、焼成スタートから5分間ほどは260~270℃あたりをキープ。※
- 5分経過すると自動的に230℃に切り替わる。
※扉の開閉で温度が下がるのと、オーブンのパワーが拮抗している、と考えています。
扉開閉だけで-40℃急下降していた旧機種とは違い、針がゆる~くマイナスに傾く感じ。
ず~っと予熱し続ければもっと高温が出るんじゃない?って思いますよね。
しかし残念!
取扱説明書によれば、予熱保持時間にはリミットがあります。
そのまま予熱し続けたら勝手に電源が切れるそう。
予熱保持時間は10分間
つまり、予熱完了のピーピー!から10分以内に食材を入れる必要があります。
(設定温度250℃以下の場合、予熱保持時間は20分間。)
300℃まで測れるオーブン庫内温度計を使用していますが、350℃で予熱・調理を行ってもメモリの針がMAXに到達したことはありません。
庫内温度計は温度の追従が遅いということを考慮しても、実温度290℃が限界だと思います。
350℃設定と300℃設定に「実温度」の差がない
300℃設定で調理を行っても、実温度250~270℃あたりで予熱完了ブザーが鳴り、その後の温度推移も350℃設定とほぼ変わりません。
取扱説明書には「設定温度が350℃のときは予熱温度は300℃になります。」とあり、予熱完了時の温度が同じことは納得。
しかし、350℃に設定したからといって焼き始めの温度が特段高くなる様子は無い。
どうなってんだ~!!
最高温度350℃とは?取扱説明書によると…
温度は庫内が空の状態で中心部を熱電温度計法により測定しています(JISの測定方法による)。 庫内に食品や付属品を入れて温度を測定すると、温度が合わないことがあります。
要するに、
「最高温度350℃」は扉を開けずに空焼きした場合の話、ということですね。
つまり、
食材が350℃を感じることはない!と。
個人的に、この「最高温度」の表記に関しては、スペックを盛るためのトリックに思えてしまう…。
あと、この説明だと350℃設定と300℃設定が同じ温度推移になる理由がわからない。
家庭用オーブンってそんなもんらしい
検索ワード:オーブン 実温度 で調べてみるとわかりますが、温度の誤差は東芝石窯ドームに限らずどのメーカーもあるようです。
メーカー公称の「最高温度○○℃」って基本アテにならない!
家庭用オーブンは電気部品保護や周辺環境への配慮も必要でしょうから、やっぱり業務用オーブンのようにはいかないのだと思います。
東芝石窯ドームER-WD7000はパン焼きに十分な性能
「最高温度350℃」、実は290℃しか出ていませんでした。
しかし…
それでもパンは美味しくムラなく焼ける
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【レビュー】東芝石窯ドームのプレミアムモデルで焼いたバゲット・ハードパンがこちら
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東芝石窯ドームER-WD7000は、ハードパンを美味しく焼くには十分のスペックだけれど、本格石窯ピザ店のピザのようなものは焼けない、といったところでしょうか。
(本物の石窯は400℃以上出るので、スペック通り350℃が出たところで足りないのだけれど。)
350℃設定で焼いたフォカッチャ
350℃20分設定(=実温度270℃5分・230℃15分)で焼いたトマトとチーズの全粒粉入りフォカッチャです。
超高温・超短時間で焼くような本格ピザは無理でも、ふっくら狙いのフォカッチャなら美味しく焼けます!
生地は水分の多い配合でしたが、ネチョつきが無くふっくら仕上がりました。
歯切れのよい生地の上で チーズはパリパリチリチリに焼けていて、とても良い感じ!
天板いっぱいに焼いたのだけれど、一箇所だけ焦げるようなこともなく、火の当たりが均一です。
過熱水蒸気300℃設定で焼いたバゲット
バゲット・ハードパンの焼成に使う「過熱水蒸気モード」は設定上限が300℃なので、最高温度350℃が出なくてもあまり関係ないです。
スチームを出しながら300℃近い高温で焼けるのなら、ハードパンは十分美味しく焼ける!
菓子パンや食パンの焼成温度はもっと低温ですから、パンを焼くという用途であれば買って損はない機種なのではないでしょうか。
焼きムラがほとんど出ない点でもオススメです。
家庭用オーブンでハードパンを成功させるには
家庭用オーブンでバゲット・ハードパンを焼くのであれば、オーブン庫内温度計は必須アイテムでしょう。
なぜなら、ハードパンを美味しく仕上げるには高温焼成がカギとなっていて、同じメーカーのオーブンであってもどのタイミングで最大パワーを発揮するかが異なるためです。
東芝石窯ドームのクセ
私は古い機種の石窯ドームから新しい機種の石窯ドームに乗り換えましたが、この2機種でもクセに差があります。
旧機種は予熱を15~20分長めに取るのが最善だったけれど、今の機種でそれやったら電源切れる!
今使っている石窯ドームER-WD7000なら、350℃・300℃に設定すれば予熱完了の時点で250℃以上は確保できるため、ハードパンの焼成環境はクリアしていると思います。
(すぐに生地を入れずにさらに蓄熱させることで、扉開閉時の庫内温度下降を防げます。)
ハードパンを低温で焼いた失敗例
旧石窯ドーム時代、無策でハードパン作りに挑んでいた頃は、多分160℃~180℃とかで焼いてた…。
まぁこの例は生地の発酵状態や成形も問題アリだったのだけど。
生地作りで迷走する前に、そもそも「このパンが焼ける焼成環境」があるかどうかを確認するべきでした。
オーブン庫内温度計は必需品
「パン作りが何度やっても上手くいかない!」という方は、オーブン庫内温度計で実温度を調べることをオススメします。
自分が使うオーブン個体の実温度や仕様を把握することで、パン焼きの成功率がアップすることは間違いないです。
実温度の最高が200℃以下なら、ハード系を美味しく焼くのは難しいと思う…。
銅板もあると良い
ギリギリ200℃出る古いオーブンでも、銅板を用いることでハードパンを焼くことはできました。
下火があれば最低限クープは開くし、生地の熟成が進んでいれば焼き色もそこそこ付きます。
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「銅板」でハードパンの成功率爆上がり!失敗例との比較で下火の重要さがわかる
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ただ、パリッとしたクラスト&みずみずしいクラムのコントラストのきいたパン屋のようなハードパンを目指すなら、やはり高温が出るオーブンほど有利だと思います。